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秋山さんが敗者復活戦を辞退した。
谷村さんからそう聞かされて、本当に良かったと思った。
けれど。
このまま、秋山さんに会えなくなるのでは…。
メールや電話をしても、ほとんど返事はない。
アパートの部屋も思い切って何度か訪ねてみたけれど、いつも留守だった。
秋山さんは私の前から消えようとしている。
もし明日にでも携帯も部屋も変えられてしまったら…。
「おい、お前!?中にいなくていいのか!?」
やっぱり秋山さんは来てくれた。
ここは父が入院している病院の前。
私はリストラゲームの時のようにしゃくり上げてすがりつく。
「ごめんなさい、私大嘘つきです。さっきのメール、嘘なんです」
私は秋山さんに父が危篤だとメールしたのだ。
「本当にごめんなさい…でももう秋山さんに会えないんじゃないかと思って。
ゲームを抜けてくれた事はうれしいんですけれど。こんな嘘つきで迷惑な私、もう嫌いですよね。
でもどうかいなくならないで…」
もう私は支離滅裂だった。
本当は消えてしまうつもりだった。
アカギの2億で彼女はゲームを抜けるだろうから、もう守るためにそばにいる必要もない。
しかし、ついつい先延ばしにしてしまう自分がいた。
ここで消えてしまえば完全に彼女からの連絡は途絶えてしまう…
「心配するな、お前は決して迷惑なんかじゃない。
それに、”私は嘘つきです”って命題自体、パラドックスなんだからな」
「秋山さんたら、また難しい事を言って…」
彼女は涙で一杯の目で俺を見上げ、微笑んだ。
…そう、この笑顔。
やはり消えてしまう事はできそうにない。
「大丈夫、どこにも行かないから」
優しい秋山さんの声が降ってきて、ゆっくりと抱きしめられた。
思いがけなく強い力で捕らわれて、呼吸も苦しいほどに。
でも耳元でささやかれた声は、小さいけれどはっきりと届いた。
「…俺の部屋に来るか?……ナオ?」
敗者復活戦を辞退すると言ったのは、俺がゲームを続けると彼女も罪悪感でゲームを続けてしまうだろうから。
でもゲームをやめる気はさらさらない。
これは彼女には言わないでおこう。
…罪深い嘘つきは俺の方だ。
良かった、秋山さんがどこにも行かないと言ってくれて。
これで心おきなく敗者復活戦に参加できる。
これは秋山さんには言わないでおこう。
…やっぱり私は嘘つきだ。
end
思い切ってSSを投下していただいちゃいましたvv
お互いを思って秘密を抱える二人に萌えv
書きたかったのは、
「返事する気がないのに
直ちゃんからの着信履歴を
頻繁にチェックしている
秋山さん」
という、コメントでしたvv
可愛いわv秋山さんvv
SSありがとうございました!
また是非、下さい!!