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***ありがたきいただきもの***

入札ポーカー直前のお話

2014/8/13
お茶目なフォルリさん様より

秋山さんが敗者復活戦を辞退した。
谷村さんからそう聞かされて、本当に良かったと思った。
けれど。
このまま、秋山さんに会えなくなるのでは…。

メールや電話をしても、ほとんど返事はない。
アパートの部屋も思い切って何度か訪ねてみたけれど、いつも留守だった。
秋山さんは私の前から消えようとしている。
もし明日にでも携帯も部屋も変えられてしまったら…。



「おい、お前!?中にいなくていいのか!?」
やっぱり秋山さんは来てくれた。
ここは父が入院している病院の前。
私はリストラゲームの時のようにしゃくり上げてすがりつく。
「ごめんなさい、私大嘘つきです。さっきのメール、嘘なんです」
私は秋山さんに父が危篤だとメールしたのだ。

「本当にごめんなさい…でももう秋山さんに会えないんじゃないかと思って。
ゲームを抜けてくれた事はうれしいんですけれど。こんな嘘つきで迷惑な私、もう嫌いですよね。
でもどうかいなくならないで…」
もう私は支離滅裂だった。



本当は消えてしまうつもりだった。
アカギの2億で彼女はゲームを抜けるだろうから、もう守るためにそばにいる必要もない。
しかし、ついつい先延ばしにしてしまう自分がいた。
ここで消えてしまえば完全に彼女からの連絡は途絶えてしまう…

「心配するな、お前は決して迷惑なんかじゃない。
それに、”私は嘘つきです”って命題自体、パラドックスなんだからな」
「秋山さんたら、また難しい事を言って…」
彼女は涙で一杯の目で俺を見上げ、微笑んだ。
…そう、この笑顔。
やはり消えてしまう事はできそうにない。



「大丈夫、どこにも行かないから」
優しい秋山さんの声が降ってきて、ゆっくりと抱きしめられた。
思いがけなく強い力で捕らわれて、呼吸も苦しいほどに。
でも耳元でささやかれた声は、小さいけれどはっきりと届いた。
「…俺の部屋に来るか?……ナオ?」



敗者復活戦を辞退すると言ったのは、俺がゲームを続けると彼女も罪悪感でゲームを続けてしまうだろうから。
でもゲームをやめる気はさらさらない。
これは彼女には言わないでおこう。
…罪深い嘘つきは俺の方だ。



良かった、秋山さんがどこにも行かないと言ってくれて。
これで心おきなく敗者復活戦に参加できる。
これは秋山さんには言わないでおこう。
…やっぱり私は嘘つきだ。



end

思い切ってSSを投下していただいちゃいましたvv
お互いを思って秘密を抱える二人に萌えv

書きたかったのは、
「返事する気がないのに
直ちゃんからの着信履歴を
頻繁にチェックしている
秋山さん」
という、コメントでしたvv
可愛いわv秋山さんvv

SSありがとうございました!
また是非、下さい!!

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